初代表の小林陵侑(21=土屋ホーム)が、日本勢最高の10位タイに入った。1回目に135・5メートルで7位で折り返したが、2回目は128メートルで順位を落とした。竹内択(北野建設)は22位、小林潤志郎(雪印メグミルク)は24位。葛西紀明(45)は33位で2回目に進めなかった。同種目で日本勢の入賞なしは88年カルガリーオリンピック(五輪)以来。日本は19日の団体で巻き返しを図る。

 若きエースが意地を見せた。小林陵が、7位入賞したノーマルヒルに続き、日本勢トップとなる10位タイに入った。1回目にスッと空中に飛び出し飛距離を伸ばすと、K点(125メートル)を軽々越える135・5メートルをマーク。この時点で7位。2回目を前に、葛西から「(女子の伊藤)有希と俺が風を送るから」と伝えられたが、追い風に当たって128メートルどまりだった。それでもトップ10を確保し「成長したなと思う。自信にはなった」と手ごたえを口にした。

 父宏典さん(53)がスキー経験者で、兄潤志郎をはじめ、4きょうだい全員がジャンプ選手というスキー一家に育った。兄が飛ぶ姿を見て3歳から競技人生をスタート。父は自宅の庭に雪を積み上げ、約3メートルの高さのジャンプ台を作ってそこから飛んだ。

 4、5歳で初めて秋田・花輪の20メートル級のジャンプ台を飛んだ時は、怖がるどころか飛び出し口で力を伝えて足を伸ばして飛び出したという。着地で転倒したが、周囲が「おお-っ」とどよめいたほど。初の五輪で雰囲気にのまれても不思議はないが、「緊張しない」と平然と話したように、幼少時に培った度胸は大舞台でも健在だった。

 ここまで葛西、竹内、伊東のベテラン3人に頼り切りだった日本だが、ようやく新星が誕生。19日には最終戦となる団体戦に挑む。「若い元気とパワーを与えたい」。若武者が日本チームをけん引していく。【松末守司】