スポーツ仲裁裁判所(CAS)の反ドーピング部門は13日、平昌(ピョンチャン)冬季五輪のスピードスケート・ショートトラック男子代表、斎藤慧(21=神奈川大)が競技会以外のドーピング検査で、利尿作用のある禁止物質「アセタゾラミド」に陽性反応を示し、暫定で資格停止にしたと発表した。

 本人は禁止薬物の摂取を否定したが、反証の材料がないため処分を受け入れ、選手村を退去した。今大会で初の処分。CASは審理手続きを継続し、大会後に最終的な裁定結果を出す。

 違反が確定すれば、冬季五輪の日本勢では史上初となる。日本オリンピック委員会(JOC)は斎藤泰雄団長らが記者会見し、詳細を説明した。斎藤は4日に選手村で検査を受け、7日にA検体に陽性反応が出たことが国際オリンピック委員会(IOC)から通告された。その後、予備のB検体の検査結果も変わらなかった。

 斎藤は「この薬を使用するメリットも動機も私にはありません。偶発的に起きた出来事により無自覚のまま口に入ってしまったとしか考えられません」との談話を出した。

 斎藤は2013、14年の世界ジュニア選手権で3000メートルリレーの3位に貢献するなど、将来を期待されてきた。初の五輪となった今大会はリレーの補欠の立場でここまで出番はなかった。

 アセタゾラミドは緑内障の治療薬などとして用いられるが、筋肉増強剤の使用を隠す場合などに使われることがあり、禁止物質に指定されている。