女子100メートルのダフネ・シパーズ(24=オランダ)や、女子800メートルで今季世界最高をマークしたキャスター・セメンヤ(25=南アフリカ)ら、リオ五輪の金メダル候補が快勝した。その一方、アスベル・キプロプ(27=ケニア)が敗れた男子1500メートルなど、波乱が起きた種目もあり、五輪を1カ月後に控え、世界の陸上界が盛り上がっている。

 セメンヤの優勝タイムは1分55秒33で、これはダイヤモンドリーグ史上最高記録でもある(ダイヤモンドリーグは2010年発足。各大会はそれ以前から行われていた)。09年世界陸上ベルリン大会優勝時の自己記録(1分55秒45)を7年ぶりに更新した。

 セメンヤの「1分56秒を切りたいと思っていました」という言葉の意味するところは大きい。

 世界陸上優勝後に男性的な体格や声質から、性別疑惑が浮上して大々的に報じられた。その後の大会では勝てなくなり、記録も1分56~58秒台では何度も走ったが、1分56秒を切ることができなくなっていた。

「自己新記録のためにハードトレーニングをしてきました。リオ五輪では金メダルを取りたい」

 21世紀に入ってからは2人目となる1分55秒未満の記録が、リオで生まれるかもしれない。

 日本勢では飯塚翔太(25=ミズノ)が男子200メートルに出場し、20秒39で5位と健闘した。優勝したアロンソ・エドワード(26=パナマ)に0・29秒差。五輪&世界陸上の準決勝レベルのレースだったことを考えると、今回の結果でリオ五輪決勝進出が可能と言うことはできない。

 だが、エドワードと2位のクリストフ・ルメートル(26=フランス)の2人は世界陸上でメダルを取ったこともある選手。その2人に大きく離されなかったことは収穫で、飯塚も自身のツイッターで「これからもこのレベルと戦っていく事に胸を張り自信をもってやっていきたい」とコメント。

 リオの決勝進出が見えてきた、と評価できる結果だった。

◆今季の男子200メートル

 金メダルの行方はジャマイカ選手権を欠場したウサイン・ボルト(29=ジャマイカ)の状態次第。この種目は100メートル以上に勝率が高く、12年7月のジャマイカ選手権でヨハン・ブレーク(26=ジャマイカ)に敗れたのを最後に、ボルトは連勝を続けている。ボルトが復調していれば、トラック種目五輪初の3連勝が実現しそうだ。

 昨年の世界陸上銀メダルのジャスティン・ガトリン(34=アメリカ)が、全米選手権も制して対抗の一番手に挙げられる。ブレークは13年に故障をして、その後もなかなか立ち直れなかったが、今季はジャマイカ選手権2冠となるなど復調してきた。

 日本勢は飯塚、藤光謙司(30=ゼンリン)、高瀬慧(27=富士通)と、日本歴代2~4位のタイムを持つ3人が出場する。準決勝で自己記録前後のタイムで走れば、五輪史上初の決勝進出が可能になる。