記者コラム:鎌田記者

美女ライダー武田「脱お嬢様」で入賞目指す/注目選手

リオ五輪日本代表会見・壮行会で抱負を述べる障害馬術の武田麗子(16年6月17日)
リオ五輪日本代表会見・壮行会で抱負を述べる障害馬術の武田麗子(16年6月17日)

 日本馬術界の「美女お嬢様ライダー」武田麗子(31=フリー)が、「脱お嬢様」でリオデジャネイロ五輪に挑む。武田薬品工業元会長の国男氏を父に持ち、今大会で6大会連続出場を決めた杉谷泰造(40=杉谷乗馬ク)に師事。71位に終わった12年ロンドン五輪後は、ドイツから英国に単身で拠点を移した。馬の世話などに時間も費やしてコミュニケーションを重視。障害飛越日本代表として個人、団体で入賞を目指す。障害飛越競技は8月14日に個人戦が開幕。杉谷、桝井俊樹(46=乗馬ククレイン)、福島大輔(38=STAR HORSES)と臨む団体は16日に始まる。

ロンドン五輪が転機 英国拠点に人馬一体を追及

 武田の転機は、初出場したロンドン五輪での屈辱だった。独特な雰囲気と世界の壁の前に人馬の呼吸を欠き、1次予選完走選手で最下位の71位。「ロンドンは経験不足でいい走行ができなかった。悔しい思いをしたので、今度こそ人馬ともに力を100%発揮したい。今回は団体8位入賞を目指すチームに貢献できるよう力を尽くしたいです」。優しい表情をキリリと引き締めた。

愛馬とコミュニケーションをとる障害馬術の武田麗子(日本馬術連盟提供)
愛馬とコミュニケーションをとる障害馬術の武田麗子(日本馬術連盟提供)

 甲南大卒業後は、杉谷を慕って指導も仰いできたが、さらなるステップのために昨年から英国に拠点を移した。トレーナーも変更した。新たな相棒のバルドリーノ(牡10)との「人馬一体」をより求めた。馬運車のハンドルを握って数週間の欧州内の遠征をこなして競技会に参加。道中は車中泊で過ごすなど、たくましさも身につけてきた。厩舎の清掃から、馬の食事や世話などの全般も、プロに任せっきりにするのではなく、すべて自身でも行って、馬と過ごす時間を限りなく増やした。

 「変わりたかった。今、ここにいるのは長いこと指導してくれた杉谷泰造さんがいたからこそ。でも、甘え続けている部分があった。飛び出して、やってみようと。大変だったけど、良かった」

 今では獣医師らの診断前に馬の異常もしっかり感じることができ対処もする。競技技術だけでなく、精神的にも大きくなって五輪の舞台に帰ってきた。

 ロンドン五輪後は「美女ライダー」としての注目に比べ、成績が伴わなかったことに関する批判の声もあった。だが、それをバネにしたことも確かだった。「厳しいお言葉を頂いた。それはそれで、次につなげようと私なりに理解してやってきた。そういう注目のされかたは好きではない。お嬢様と言われるのが、ずっと嫌だった」。反骨精神も力の源だ。

師匠杉谷と団体出場 周囲の支えに結果で恩返しを

 ただ、支えてくれた周囲への感謝の気持ちは忘れていない。馬術は馬を航空機輸送するだけで片道数百万。馬の購入は数千万を超える場合も多く、さらに維持費だけでも高額だ。経済的な援助をしてくれた家族の力も大きい。高校生で競技に参加以降、親身になって指導してくれた杉谷との団体出場も夢の舞台。「昔から応援してくれる気持ちに応えたいという一心で練習を重ねてきました。全力で戦って結果を出して、恩返しができればと思っています」。2度目の晴れ舞台は、大人の美しさを人馬で披露するつもりだ。【鎌田直秀】

記者プロフィル
鎌田直秀(かまだ・なおひで)
◆鎌田直秀(かまだ・なおひで) 1975年(昭50)7月8日、茨城・水戸市出身。土浦日大―日大では野球に明け暮れる学生生活。98年入社。動物資源科学科(旧畜産学科)卒は新聞業界では異例。販売局や編集局整理部を経験後、サッカーや相撲担当を経て、現在は卓球やラグビーなどを担当。プライベートでの楽しみは、昨年末に長女に続いて9年ぶり2人目の誕生となった長男と2人での留守番。180センチ、85キロ。血液型O。

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