国際オリンピック委員会(IOC)が24日、ロシアのリオデジャネイロ五輪からの全面除外を見送り、出場の可否を国際競技連盟(IF)の判断に委ねたことに欧米の関係者から批判が相次いだ。

 米国反ドーピング機関のタイガート委員長は「多くの選手や内部告発者が勇気を持って、ロシアの国ぐるみのドーピングに抵抗してきた。残念なことにクリーンな選手や五輪の尊厳を守る最も大事な局面で、IOCは指導力を発揮することを避けた」と指摘した。英国反ドーピング機関のサプステッド理事長も英メディアに「無秩序状態の始まり」と断じた。

 英国のペンギリーIOC委員は英BBC放送(電子版)に「将来に不安を覚える。責任の丸投げだ」と語り、別の古参IOC委員も「IOCの信頼が揺らぐ決定だ」と非難するなど、内部からも厳しい声が上がった。

 ロシア陸上界の組織的なドーピングを暴く番組を制作したドイツ公共放送ARDのゼペルト記者は「弱気なひどい決定だ。バッハ会長は今回の決定で国家ぐるみのドーピングは許容したことになる」と糾弾し、内部告発したステパノワ選手の出場を認めない判断について「内部告発しようとする選手への平手打ちといえる」と述べた。

 各国オリンピック委員会連合(ANOC)のアハマド会長(クウェート)は「IOC理事会の決定を全面的に支持する。ロシアの全面的除外は多くのクリーンな選手を不当に罰することになる」との声明を発表した。