水谷隼(27=ビーコン・ラボ)が4-1でウラジーミル・サムソノフ(40=ベラルーシ)を破り、日本男子史上初メダルとなる銅メダルを獲得した。水谷は同日の準決勝で馬龍(中国)に2-4で敗れ、3位決定戦に回っていた。過去の日本勢のメダルは2012年ロンドン大会の女子団体銀のみで、シングルスのメダルは日本史上初となった。

 水谷は「僕が卓球を始めたときからの夢だったので、それがかなえられてうれいしいです。(第4ゲームは)途中リードしてたが相手もあきらめない気持ちが伝わってきて、僕も絶対あきらめなかった。最後エッジボールで入ってうれしい。今日負けたら一生後悔する、死にたくなると思うので、頑張りました。これまでだれも個人のメダルを獲得してなかったので、その人たちの分まで頑張りました。今度は団体のメダルを取ってみなさんの夢をかなえたいです」と話した。

 水谷は第1ゲーム開始から3点連取。7-2と序盤でリードし、11-4で奪った。第2ゲームは7-9からの逆転で11-9と奪取。第3ゲームは6-11で落としたが、第4ゲームはジュースの末に14-12で奪い、第5ゲームも11-8で連取して勝利を決めた。

 今大会は第4シードとして出場。中国の2強と準決勝まで当たらない組み合わせとなり、メダル獲得の期待が高まっていた。前日に女子の福原愛が3位決定戦で敗れていただけに、日本にとってはうれしいメダル獲得となった。

 水谷は中学からドイツに渡り、プロリーグに参戦。中国、ロシアと海外リーグで活躍してきた。2010年、14年とITTFツアーグランドファイナルで優勝。世界の舞台で実績を積み重ね、ついに五輪メダルにたどり着いた。

 ◆水谷隼(みずたに・じゅん)1989年(平元)6月9日、静岡県磐田市生まれ。5歳から父信雄さんが代表を務める豊田町スポーツ少年団で競技を始め、青森山田中-青森山田高-明大。07年全日本選手権シングルスを17歳7カ月で史上最年少制覇。08年北京五輪から3大会連続出場。全日本選手権シングルスは史上最多タイの8度優勝。172センチ、63キロ。