五輪初出場の太田忍(22=ALSOK)が、15年世界選手権王者のイスマエル・ボレロモリナ(24=キューバ)に0-8のテクニカルフォールで敗れ、グレコローマン32年ぶりの金メダルは逃したが、00年シドニー五輪の69キロ級の永田克彦以来の銀メダルを獲得した。

 太田は「悔しい気持ちです。金しか狙っていなかった。日本に帰ってしっかり練習します。プレッシャーも緊張もなかった。(レスリング16大会連続メダル獲得に)伝統をつなぐことができてひと安心だが、銀メダルに終わりまだまだだと思う」と話した。

 太田は1回戦で前回ロンドン大会55キロ級金メダルのソリアン(イラン)に5-4の判定で逆転勝ち。2回戦は15年世界選手権3位のケビスパエフ(カザフスタン)に6-0で、3回戦で14年世界選手権3位のベルゲ(ノルウェー)に4-0でいずれも判定勝ち。準決勝では前回ロンドン五輪55キロ級銀メダルのバイラモフ(アゼルバイジャン)にフォール勝ちして決勝に進出していた。

 太田は昨年2月のハンガリー国際で優勝するなど、素早い動きから繰り出す大技で海外勢から「ニンジャ」と恐れられている。

 ◆太田忍(おおた・しのぶ)1993年(平5)12月28日、青森県生まれ。八戸キッズクラブでレスリングを始め、全国少年大会4連覇、青森・倉石中では全国中学選手権連覇。山口・柳井学園高時代はフリーでこそタイトルから遠ざかるが、新たに挑戦したグレコローマンで全国高校選手権連覇。日体大入学後は本格的にグレコに転向し、14年にアジア選手権2位、15年ハンガリーGP優勝。165センチ。