東京五輪のアーチェリー代表最終選考会が、本大会1年延期に伴い来年3月に開催されることになった。最終選考会に出場する5人に残った中村美樹(27=ハードオフ)は「(最終選考会の)日付が決まったので、そこに向けて準備していきたい」と気持ちを新たにしている。新型コロナウイルスの影響で満足に練習できない状況が続いているが、地元企業の後押しも受けて調整していく。

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五輪初出場を狙う中村は、3月に行われた2次選考会に出場した。ロンドン五輪女子団体銅メダルの早川漣に次ぐ2位で突破。故郷の山形・鶴岡市内のリサイクルショップで週5日勤務しながら、普段は近くの運動公園にある練習場で調整してきた。地元企業の後押しも受け、冬場には広々とした工場の一角で実戦に近い練習もしていた。雪国のハンディを物ともせず、一躍代表有力候補になった。

中村 代表選考の延期か中止かはっきりしない時期は、どうなるかと不安でした。決まったことで吹っ切れました。メダルを取ることが目標なので、まずは来年3月の最終選考会で代表入りを決めたい。

-練習状況は

中村 練習場が閉鎖となってしまいましたので、実戦に近い練習はほとんどできてません。家の近くをランニングをしたり、筋力トレーニングをしたりしています。

-新型コロナで先行きが見通せないが、仕事は

中村 最終選考会の日程も決まったので、仕事も再開しました。店頭スタッフとしてレジ打ちや在庫管理をしています。マスクを着け、アルコール消毒を徹底して感染防止に取り組んでいます。お客さんも来なくなり、ネットの注文が増えています。

-リサイクルショップに所属するのは珍しい

中村 日体大時代の恩師山本先生に紹介されたのが縁で入社しました。会社にはアーチェリークラブがあり、私含めて8人います。クラブのグループラインでは「最終選考会進出おめでとう」「頑張れ」など応援をもらい、励みになっています。

-地元企業の工場の一角を借りて練習に打ち込んできた

中村 冬場は雪が積もるので、思うような練習がなかなかできません。地元企業が工場通路の約60メートルを練習場に提供してくれました。そのおかげで2次選考会へ自信を持って臨むことができました。

-多くの方から協力を受けている

中村 所属先や地元企業の手厚いサポートをとても感じます。期待に応える活躍をしたいです。【聞き手=平山連】

◆中村美樹(なかむら・みき)1992年(平4)9月12日生まれ、山形県鶴岡市出身。アーチェリー部の活動紹介で数メートル先の風船を射抜く上級生の姿に憧れ、12歳で競技を始める。鶴岡工高から日体大進学後、ハードオフ入社。店頭スタッフとして週5日レジ打ちや在庫管理に当たる。細かい作業が好きで、趣味は水引作り。162センチ、72キロ。