陸上男子100メートルで9秒97の日本記録を持つサニブラウン・ハキーム(21)が26日、都内で報道陣の取材に応じた。

休暇とビザの手続きで一時帰国中。残り300日となった東京オリンピック(五輪)へ向けては「目標はずっと金メダル。1年延期になって時間も増えた」と力を込めた。東京オリンピック(五輪)へ長期的な計画で強化を図るため、日本選手権(10月1~3日・新潟)は出場を見送った。近日中に練習拠点の米フロリダ州へ戻る。

揺るがないのは「金メダル」という壮大な目標だけでない。東京五輪には100メートル、200メートルの個人2種目出場を狙う意志もぶれない。「あくまでも個人が一番大切。100も200も両方出たいのは変わらない。個人種目でしっかり結果を出して、その上でリレーでも結果を出せたら」。東京五輪の日程は過密。男子400メートルリレーの金メダルを狙うため、個人の2種目出場は、ともに日本記録以上のタイムを出すなどの条件をクリアすることが求められている。ただ、サニブラウンは「タイムを切ったら、両方に出られる。なら切ればいいかというぐらい。(自信?)全然大丈夫だと思う」。そう、さらり言った。それは「金メダル」の通過点でしかない。

行動にも表れている。東京五輪の延期が決まったことを受け、よりハイレベルの環境を求めた。これまで米フロリダ大の学生として、大学を拠点としていたが、プロチーム「タンブルウィードTC」に加入。旧知であり、飛躍を支えてくれたレイナ・レイダー氏に再び師事し、16年リオデジャネイロ銅メダルのアンドレ・ドグラス(カナダ)や、3段跳びで五輪2連覇のクリスチャン・テーラー(米国)らと切磋琢磨(せっさたくま)する。

「大学のレベルも高いが、自分と同じレベルくらいの選手。世界の本当の上で戦うには、やっぱり、そのレベルの人たちと日々練習したり、試合で走ったりしないといけない。その意味では世界のトップ選手が多い環境で、もまれないといけないと思った」

まだまだ成長を模索し続けている。