前日4日の日本選手権女子1万メートルを日本新記録となる30分20秒44で優勝し、東京オリンピック(五輪)の代表に内定した新谷仁美(32=積水化学)が5日、大阪市内のホテルで行われた会見に登壇し、独特の“新谷節”をさく裂させた。

祝福のメッセージが多く届いたが「時間的に一番最初に来ていたのは、ラインニュースでした。母親から先ほど『おめでとう』と連絡が来た。誰よりも遅かった」と笑った。また今後の強化ポイントを問われると、「スタート前にすごく緊張して、恐怖から泣いてしまうことがある。もう32歳になったので、泣かないようにスタートラインに立てたらいい」とも語った。

その上で覚悟をにじませた。記録的には復帰前の自分を超えたが、「結果としては過去の自分を超えられていないのが現状」と言う世界大会の最高成績は13年世界選手権(モスクワ)の1万メートル5位。「そこを超える結果を出さなければ、超えたことにはならない。昨日のはあくまで戦うためのタイムをクリアしただけ」と続けた。

過去に日本人女子がトラック種目で五輪のメダルを獲得したのは、28年アムステルダム大会銀の人見絹枝だけ。5000メートルは96年アトランタ五輪の志水見千子の4位、1万メートルは同じくアトランタ五輪の千葉真子の5位が日本勢女子最高だ。近年はアフリカ勢が席巻する。弱点のメンタル強化を掲げ、「現実的に考えたら、日本人は無理だろうと思われがちですが、そこを私はどうしても、ぎゃふんと言わせたい。日本人でもやれるということを証明したい」と力を込めた。

また5000メートルでも代表を目指す意向を示した。