まさにミラクルな巡り合わせで東京五輪出場を確実にした。

陸上の世界リレー大会が1日、ポーランド・ホジュフで行われた。12年ロンドンオリンピック(五輪)以降、五輪と世界選手権の舞台から遠ざかっていた女子400メートルリレー日本代表(青山華依、児玉芽生、斎藤愛美、鶴田玲美)は、予選1組で44秒17の2着に入り、決勝進出を決めた。今大会は上位8カ国・地域に五輪枠が与えられることになっており、2日の決勝を棄権せずにスタートラインに立てば、確定する。

第1走者青山は「目指していたのでうれしい。まだ実感はないが、東京五輪があると信じて頑張りたい」。アンカー鶴田は「実感が湧かないが、素直にうれしい」とコメントした。

3週間前。まさに五輪は絶望的だった…。そもそも日本は世界リレー大会にも出られないはずだった。参加標準記録(43秒90)をクリアできておらず、4月10日の出雲陸上では、それを突破すべく特別レースに挑んだが、タイムは44秒30止まり。関係者も1度は消えたと思っていた自国五輪の道は、コロナ禍によって、まさかの展開に。米国、ジャマイカ、トリニダード・トバゴなど記録のランキングで上位チームがコロナ禍を理由に、世界リレー大会の派遣を見送った。それにより、日本は繰り上がりで、出場24枠の中に入れた。結局、女子400メートルリレーの出場国はわずか14チームで、その巡ってきたチャンスをものにした。

男子が金メダルを狙える中、女子は世界と個人の走力差が大きく、それはバトン技術だけでは埋められなかった。12年ロンドン五輪以降、世界大会の個人種目の100メートル、200メートルに出場したのは福島千里だけ。ただ、若手は育ってきているだけに、女子短距離の強化を担う瀧谷コーチは「女子短距離の新たな幕開けになると感じている」とし、五輪の目標を11年の日本記録43秒39の更新に定めた。