男子100メートル決勝で、自己ベスト9秒98を持つ桐生祥秀(25=日本生命)は、10秒28で5位だった。

5月下旬に右アキレス腱(けん)に痛みが出た。苦しい状況で24日の予選は全体トップの10秒12、準決勝は10秒28で通過した。予選後には右足が痛そうなしぐさを見せた。100メートル、わずか10秒、50歩弱ににすべてをかけるスプリンターにとって、足の痛みは精神論でどうにかなるものではない。それでも桐生は「足は気にしない。痛いとかいってられない。1本集中してタイムを上げていきたい」と強い決意を口にした。

大会前には「ほぼほぼ走り込みはできてない状態。痛みをとることを最優先にやってきた」と明かした。テーピング、練習後のアイシング、超音波治療と走れる状態にすることに苦心してきた。しかしいざスタートラインに立つと「痛みは感じない」。2度目の五輪出場へ、悲壮な覚悟で決勝に臨んでいた。

 

◆選考方法 1位の多田、3位の山県はともに参加標準記録(10秒05)を突破済みで、「3位以内」に入ったため2人は代表に決定。2位のデーデーは参加標準記録をクリアできておらず、世界ランキングでの出場資格にも遠く届いていない。そのため日本選手権で「3位以内」には入ったが、100メートル代表にはなれない。残る1枠は参加標準記録を突破した選手の中から、日本選手権の上位順で選ばれるルール。そのため4位の小池が決定的で、1種目最大3人までの条件から、5位の桐生、6位のサニブラウンは落選となる。

男子400メートルリレーについては、日本選手権が選考上「最重要選考競技会」と位置付けられている。100メートルの代表選手に加え、200メートルの代表選手との兼ね合いになるが、デーデーが代表入りする可能性も十分。また「特性と戦略を考慮」して選考するとされており、桐生やサニブラウンの可能性も残っている。