東京オリンピック(五輪)開会式2日前の21日に開幕するソフトボールの日本代表が20日、福島・あづま球場で練習を公開した。投打で活躍が期待される藤田倭投手(30)は「この日のために5年間準備してきたし、苦しい思いもしてきた。それをぶつけるのが今だと思う。思いっきり暴れたい」と意気込んだ。

9日のメキシコとの練習試合では7回完投するも、3回までに8失点。満塁弾を含む特大の2発を浴び、パワーを見せつけられた。振り返った藤田は「準備してきたことをあの日でゼロにはしたくなかったし、ダメだと思いたくなかった。自分がやらないといけない人物であることは変わりないし、監督もそこを求めている」。エース上野からは「全部が悪かったわけではない」と言われ「いつも通りの上野さんでいてくれたことが救いだった」と笑みを浮かべた。

この日の練習ではブルペン投球後、投内連係、さらにはマウンドを確かめながら投球練習を行った。人工芝の感触を確かめ「低めにボールを集めるのが難しいという感覚があった。コーナーワークだったり制球力がないと長打を食らう。高めもうまく使って、駆け引きをしながら投げたい」。初戦の相手であるオーストラリアは「クリケットが盛んで、下系のボールを打つのをうまいと思う」と警戒。低めへの制球力が強力打線を抑えるカギとなる。

21日の先発について聞かれると「全然分からない。まだ誰も知らない。多分、上野さんも聞いていないと思う。先発であってもなくても、絶対出番がある。どこでも準備はできている」と明かした。

「残念ながら無観客になってしまった。五輪という雰囲気はないが、思いっきり暴れたい」。応援に来てくれるはずだったファン、代表に選出されなかった仲間、これまで重ねてきた努力と練習、さまざまな思いを背負い21日、灼熱(しゃくねつ)の福島で藤田が快投を見せる。【松熊洋介】