主砲が堂々の胴上げ宣言だ。広島鈴木誠也外野手(26)が20日、東京オリンピック(五輪)に向けた侍ジャパン強化合宿(楽天生命パーク)の2日目を終えた後、19年秋の「プレミア12」に続く稲葉監督胴上げを誓った。

ソフトバンク柳田が右脇腹の違和感で一部別メニュー調整中ということもあり、この日のシートノックでは本職ではない中堅も守った。役割に固執せず、泥臭く金メダルをつかみにかかる。

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まだ強い日差しが残る仙台の夕刻、鈴木誠は素直な本心を言葉に変えた。

「プレミア12で優勝した時の稲葉監督の喜んでいる顔を見ると、もう1度優勝して喜ばせてあげたいなという気持ちはあります」

19年秋、不動の4番として指揮官に世界一をプレゼントした。今度は五輪だ。舞台は生まれ育った東京だ。落ち着いた口調から気合があふれ出た。

打撃の状態を問われると「最悪ですね」と冗談めかして苦笑い。上昇の兆しについても「今のところはないです」と苦笑いしたが、代表合流直後から積極的に引き出しを増やしている。

合流日だった18日夜は宿舎でヤクルト村上の訪問を受け、打撃論をぶつけ合った。「僕が教えてもらってます」と後輩に感謝する。

「打席の中での待ち方であったり…。あの若さであれだけのホームランをこの短期間で打っていてすごい。本当に勉強になることはたくさんあります」

巨人坂本らとも話し込み、いち野球人とのレベルアップに余念がない。

ただ、いざ本番が始まれば最後は心を重視する。

「状態自体はあまり良くないですけど、気持ち的な充実感はすごくある。そこさえ崩れなければ、あとは何とか試合で1本出たりすれば勝手に変わってくるんじゃないかなと思う」

「プレミア12」での経験も生かし、1打席1打席、切り替えを心掛けて勝負に入るつもりだ。

この日のシートノックでは本職の右翼ではなく中堅を守った。ソフトバンク柳田が右脇腹の違和感で一部別メニュー調整しており、日本ハム近藤とともに有事の際の準備も始めた形。慣れないポジションにも「楽しかった」と前向きだ。

4番有力候補の1人で、稲葉監督も「もちろんクリーンアップというところで期待したい」。それでも本人は4番について「村上選手がいるので僕はいいです」と再び冗談めかす。フリー打撃後には当然のようにバント練習。役割にこだわらず、泥臭く頂点到達を狙う。【佐井陽介】