新型コロナウイルスの感染拡大で史上初の1年延期となった東京五輪が21日、「上野の1球」で始まった。

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◆記者が見たコロナ禍の取材現場◆

一足先に福島で開幕した東京五輪。無観客で広いあづま公園内で行われているとはいえ、多くの警察関係者、警備員、報道陣などが集結したため、動線を分け、感染対策が徹底された。

特に選手と報道陣が最も密接するミックスゾーンでは、選手は1メートル以上離れた状態で取材に応じた。報道陣も間隔を開け、その場から動かないようにして質問。前日練習後に1度行ったテストで、修正点を話し合い、スピーカーの設置や、取材希望の多い選手をあらかじめチームに伝えておくなど改善したため、混乱せず、スムーズに進行した。

担当者は「メディアの人にも、できるだけ多くの人に取材してもらいたい」と配置を再考し、前日60人だったエリアの入場人数を増やした。この日は希望者約75人全員が取材することができたという。

会場では、各エリアごとにボランティアが常駐しており、細かい質問や要望までていねいに対応する姿が見られた。あるスタッフは「しっかり準備してきた。暑い中、福島に来てくれたので、気持ちよく試合や取材をして欲しい」と話す。大会を成功させるため、スタッフも選手と一緒に汗を流している。【松熊洋介】