頼むぞ、ヨシノブ! 侍ジャパンの山本由伸投手(22)が24日、強化試合の楽天戦(楽天生命パーク)に先発した。五輪初戦となる28日の1次リーグ・ドミニカ共和国戦(福島・あづま球場)での先発が決定的となっている右腕が、本番前最後の実戦登板で2回1安打無失点の好投。最速150キロ直球を軸に、甲斐とのバッテリーで“五輪仕様”の配球も確認。満を持して金メダルへのスタートを切る。

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真上に上がった太陽の下、山本が頼もしい投球を披露した。甲斐のサインにテンポよくうなずく。先頭小深田への初球はアウトローへの149キロ直球を投げ込んだ。カウント1-1からは121キロカーブで揺さぶった。最後は141キロフォークがやや落ちきらずに右前打を許した。NPB球と大会球の若干の違いに「変化球の方がどっちかというと。もっとボールにも慣れる必要があると思いますし、困るほどではない」と、唯一の被安打に改善点を見いだした。

高低、緩急のめりはりを強めた“五輪仕様”の投球を、最終調整登板のテーマに設定した。甲斐とのバッテリーの中で「いろんなパターンの配球を試した。外国人選手の苦手なところとかもある。スイングの癖とかもあるので、そのへんをしっかり見て決めたいなと思います」。限られた時間の中で本番を想定し、最大限の準備を進めた。

想像を絶する重圧がかかるマウンドが次回登板の舞台になる。「気持ちは上がったり下がったりはない。これから1日を大切にして調整していこうと思っています」と地に足をつけた。正午試合開始も通常とは異なるが「もっと自分自身が暑さに構えていた部分があったので、思ったより平気でした」と気持ちよさそうに汗を拭った。

りりしくもあり、力強くもある。不動心を貫く侍ジャパンの“開幕投手”が、その時へと向かう。【為田聡史】