侍マー君は、ぶれない。侍ジャパンの田中将大投手(32)が25日、巨人との本番前最後の強化試合(楽天生命パーク)に先発。代表では13年WBC以来のマウンドを2回2/3を26球、1安打2奪三振無失点で終えた。

初バッテリーの梅野へ多彩な変化球を投じ、呼吸を確認した。東京五輪本番ではチーム3戦目の決勝トーナメント初戦の先発を任される見込み。4位に終わった08年北京大会を唯一知るメンバー最年長右腕が、臨戦態勢を整えた。

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8年ぶりの日の丸を真っ赤なユニホームの左胸に刻んだ田中将が、慣れ親しんだ仙台で危なげなく試運転を終えた。1回は11球、2回もわずか7球。駒大苫小牧の後輩、伊藤の回途中の登板の事前プランもあり、2回2/3でプレートを譲った。「本戦ならどんな形であれ今日のような結果であればよかったと言える。打者に捉えられていたので内容は満足していない」と、やや辛口な自己採点に伸びしろを残した。

与えられた時間で確認作業にいそしんだ。合宿中に1度ブルペンで受けてもらった初バッテリーの梅野に「普通に巨人打線を抑えるように配球してほしい」と本番仕様を求めた。スプリット、スライダー、ツーシーム、カットボール、スプリットチェンジと、カーブ以外の球種を試投し「自分のテーマではこういうボールを使いたいと会話もできた」。NPB球と異なる大会球も「今までも困ることはなかった」と無問題だ。

メンバー最年少で臨んだ08年北京五輪から13年がたち、今回は最年長で迎える。「いかにいつもの自分でいることができるかが大事。慣れない環境でもいつもの自分の力を出し切れるかがキーになる」と豊富な国際経験を踏まえ、この日もシーズン同様の過程で登板。大舞台でこその不動心の大切さを背中で示した。

本番ではチーム3戦目となる決勝トーナメント初戦の先発を任される見込み。1次リーグの順位次第で8月1日もしくは2日と日程が流動的で難しい調整を強いられる。「選ばれた選手だけが着ることができるユニホーム。金メダルのためにチーム一丸となってやっていくだけです」。マー君なら、必ずやってくれる。【桑原幹久】