侍ジャパン稲葉篤紀監督が日韓戦を制し、金メダルへ最短4連勝での王手をかける。4日の準決勝韓国戦(横浜)を控えた3日、都内の大田スタジアムで調整。この日は49歳の誕生日でチーム宿舎でバースデーソングとともに赤パンツをプレゼントされた。北京五輪準決勝で敗れた因縁の相手に勝ち、悲願に大きく前進する。

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韓国戦を前に結束力がさらに高まった。米国戦でのサヨナラ勝ちから一夜明けたチーム宿舎。稲葉監督がお昼頃に食事会場へ向かうと、ナインらがサプライズで一堂に会していた。菊池涼が仕掛け人となりプレミア12でバースデーソング担当だったヤクルト田口がビデオレターで熱唱。赤パンツもプレゼントされた。さらに登板2戦連続失点中の青柳もマイクを取り、投法同様の変則な音程? で「でぃ~あ、稲葉さ~ん」と爆笑を誘った。

五輪の最中で迎える誕生日。米国戦に敗れていれば、敗者復活2回戦と重なった。「誕生日の日に試合がないことをずっと祈っていた」。49歳になった瞬間は米国戦の会見直後で出席した田中将から1番に祝われた。そして“誕生会”。「ちょっと涙が出てきましたけど、非常にいい誕生日を迎えられた。ヤギ(青柳)も調子も出ていない中で歌ってくれて、グッと来るものがあった。よくなくても、チームのために何かしようと。そういうチームになったな」と実感した。

思いを新たに韓国戦に臨む。現役時代に出場した北京五輪準決勝で敗れた相手だ。監督就任後、4連勝中だが「北京の借りは五輪でしか返せない」と何度も繰り返してきた。宿命のライバルも今大会は日本同様2度のサヨナラ勝ちと勢いに乗る。立てるはエース山本。3連勝すれば準決勝起用の構想だった。「同じライバルとして、お互いのプライドがある。そういうものがぶつかりあって、切磋琢磨(せっさたくま)しながら戦う。全員で結束して明日の一戦を勝てるように」。勝負の赤パンツをはく日も決めている。「決勝戦ではかさせていただきます」。金メダルへの道筋は見えている。【広重竜太郎】