侍ジャパンが、悲願の金メダルに王手をかけた。宿敵韓国を5-2で下し、銀メダルを獲得した96年アトランタ大会以来、25年ぶりの決勝進出を決めた。同点の8回2死満塁、山田哲人内野手(29)が左中間フェンス直撃の3点適時二塁打を放ち試合を決めた。1次リーグ初戦から4連勝で銀メダル以上が確定。メダル獲得は04年アテネ大会(銅メダル)以来、17年ぶりだ。

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塁上が埋まった。同点の8回2死満塁。山田が自信を携えて勝負の打席に入った。韓国の右腕高祐錫の初球、シュート気味に垂れてきた直球に迷いなく反応した。「ボール1個分くらい差し込まれたというのはあったんですけど、狙った球が来たのでしっかり押し込めた」と左中間フェンス最上段に直撃する決勝の勝ち越し3点適時二塁打。悠々と二塁まで到達し、両拳を突き上げて大興奮の日本ベンチに応えた。

重圧との闘いが五輪での戦いだと強く心に刻んできた。16年オフの表彰式でレスリング女子で五輪3連覇を果たした吉田沙保里さんがプレゼンターとして登壇した。「勝たないといけないプレッシャーの中で、勝っていた。僕も打たないといけない場面で期待されているので、結果で応えることに感動した」。霊長類最強女子が醸し出すオーラに圧倒された。本物の強さにあこがれ、目指すべき方向が定まった。

14年に初めて日本代表入りしてから侍の常連となった。五輪への思いは特に強い。幼少期から、五輪となればテレビの前にくぎ付けだった。柔道や水泳、普段は目にしない競技にもチャンネルを合わせた。「刺激を受けて、僕も野球頑張ろうって、子どもの頃は思ってました」。

勝てばメダルが確定する日韓戦。日本中が注目する大一番。3回無死一、二塁では17年WBC準決勝米国戦以来の犠打を決めた。5回無死からは右中間への二塁打で追加点を演出。全5得点に絡む、大暴れで決勝進出へと導いた。あと1勝。「金メダル獲得に貢献出来るプレーを決勝戦でもしたいなと思います。頑張ります」。抑えきれない闘志で栄冠を勝ち取る。【湯本勝大】

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