侍ジャパンが総力戦と献身性で金メダルをつかむ。宿命のライバルとの対決を制した準決勝韓国戦から一夜明けた5日、チームは休養日とし、一部選手が都内で自主練習した。稲葉篤紀監督(49)は韓国戦で先発したエース山本を除き、7日の決勝は総動員態勢を取る姿勢を示した。大会中に育んできた結束力も武器に、頂点に立つ。

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駒を余すことは、もうない。就任4年の集大成となる決勝戦。稲葉監督は韓国戦で先発し、5回1/3で94球を投じたエース山本の救援投入には「中2日ですから、なかなかそういうわけにはいかない」と否定的だったが、残る総動員には「そうですね」とキッパリ。メジャー時代は中4日を日常とし、復帰した楽天では中5日以上の間隔を保っている田中将も「いろんな可能性を含めて準備してもらう」と待機させる。

19年プレミア12の決勝も総動員だった。先発山口が初回3失点すると先発の高橋礼を中4日で送り込んだ。さらに1次ラウンドで出番のなかった田口が決勝進出がすでに確定していたスーパーラウンド韓国戦での登板から、決勝韓国戦も連投。計7人の継投で世界一に輝いた。

総動員態勢に加え、献身性を備えた自慢の志士たちがいる。韓国戦の5回無死二塁で坂本が2度バントを失敗してから、右飛で走者を進めた場面を振り返った。「打たせようか進塁打のサインを出そうかと思っていたが、勇人(坂本)が『バントしていいですか?』と。点を取るために何をしなければいけないかを理解してくれている。こちらの意図と選手の思いが、より1つになってきている」と実感する。

決勝には3日の誕生日に田口から贈られた赤パンツを身に着ける。「ジャパンのために、何か私のためにやってくれようとしてくれている気持ちというのもうれしかった。そういう気持ちも一緒に戦いたいなと思って、はきたい」。すべての人の思いが金メダルへの推進力になる。【広重竜太郎】