東京オリンピック(五輪)でバスケットボール女子日本代表を銀メダルに導いたトム・ホーバス監督が退任する可能性が出てきた。日本協会は11日、オンライン会見を開き、東京五輪で女子を率いたホーバス監督と、男子を率いたフリオ・ラマス監督(57)との今後の契約について白紙を強調した。

三屋裕子会長は2人の今後について「継続、退任をここでは申し上げられない」と話すにとどめた。両監督の契約期間は「大きな大会でいえば東京五輪まで」。強化トップの東野智弥技術委員長らが近く、東京五輪の総括や検証を行う。東野委員長は、今月中には結論を出したいとした。

三屋会長はホーバス監督と1、2日前にも会話を交わし、同監督が「米国にいる家族のもとで少し体を休めたい」との意向を持っていることも明かした。4連覇中のアジア杯(アンマン)が9月下旬に開幕する。三屋会長は「当初から決まっていた」と、同大会では恩塚亨アシスタントコーチが暫定的に指揮を執ることを明言した。

ファンを含めて初の銀メダルをもたらしたホーバス監督の続投を求める声が強い。決勝直後に同監督は、選手たちに教えたいことが「いっぱいある」とし、「協会側の気持ちも聞きたい」とも口にしていた。しかしある関係者は、「トムはもう1年半ほど米国に帰れていない。五輪銀メダルによって母国での評価は高まっている。いいオファーがあれば、米国で指導にあたることも選択肢の1つ」と話す。

東野委員長は「ホーバス監督が戦術を見いだして引っ張り、バスケ界が変わったことを示してくれた」と最大級の賛辞を贈る。一方で、そんな名将が3年後のパリ五輪へ向けて再び日本を率いるか否かは先が読めない状況に陥っている。