日本フェンシング協会が28日、都内で理事会を開き、東京オリンピック(五輪)の延期決定を受けた対応を話し合った。代表の出場権を争う国際大会が中止となり、国際競技連盟(IF)の今後の判断を待つ。太田雄貴会長は取材に「選手たちは全く仕事ができない状態で苦しい思いをしている」と気遣った。

16年リオデジャネイロ五輪まで現役を続けた太田会長だからこそ、練習や試合が満足にできない現役選手の苦悩を身に染みて感じている。同協会は、選手たちの自宅待機をさらに1週間延長する方針。太田会長は「(選手は)外で走るくらいしか練習できない状況。改めて試合ができる喜びをかみしめて欲しい」と語った。

新型コロナウイルスの影響による景気悪化で、今後スポンサー収入の減少も懸念する。それでも米マイクロソフト社の創業者ビル・ゲイツ氏の「死んだ人を生き返らせるより、経済を立て直すことの方が簡単だ」との言葉を引用し、太田会長は「社会全体で考えると、人命が何よりも大事」と強調。この苦難を乗り越え、東京五輪を無事に迎えられることを願っていた。【平山連】