東京都医師会は22日、緊急記者会見を開き、尾崎治夫会長は東京オリンピック(五輪)・パラリンピックで都内の小中学生らに五輪観戦の機会を提供する「学校連携観戦プログラム」の中止を提言した。

「夏場でお子さんを、ある程度の集団で移動させることは熱中症も含めて危険だろうと思う」と懸念を示した。新型コロナの感染対策への不安や、引率する学校関係者への負荷などから参加を取りやめる学校が相次いでいる。尾崎会長は「今のような状況であれば、家で冷房の効いた涼しい所で観戦した方がよっぽどいい」と推奨した。

前日21日に開催された組織委員会など5者協議では同プログラムは、有観客開催した場合の上限1万人とは別枠との認識を示した。尾崎会長は「おそらく、1964年の時もやって来たんだと思うが、当時は10月の開催で、季節的にいい時期だった。この蒸し暑い時期で、なおかつ暑さに弱い人は多いと思う」と指摘した上で「そういう人を、そういう所へ連れていく。感染するかも知れない、熱中症もある、と考えると、私は止めた方がいいと思う」とした。

意見書は18日、東京都医師会と、都内の地区医師会、大学医師会の連名で、組織委員会、田村憲久厚労相、丸川珠代五輪担当相、東京都に提出された。「大会の開催を契機に感染が拡大しないこと」、「大会を開催することによって通常医療が圧迫されないこと」の2つを必須条件としたが、尾崎会長は「無観客というのが必須条件を満たすと考える」とし、有観客で必須条件を満たすことは「医療面からは、かなり難しいと思う」と強調した。【大上悟】