政府が7日、東京都に新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言を再び発令する方針を固めたことを受け、東京五輪の都内会場は無観客を避けられない公算が高まった。政府関係者が明らかにした。先行開幕の21日まで2週間と迫りながら、いまだに決まらない観客数を巡り、大会組織委員会は幹部が深夜まで協議した。

6月21日に政府や国際オリンピック委員会(IOC)などと開いた5者協議では、まん延防止等重点措置の解除を前提に観客数を「収容定員の50%以内で1万人」と決定。同時に、再び緊急宣言が出た場合には無観客も含めて対応する方針を示した。その後も橋本聖子会長が「無観客も覚悟」と繰り返し強調していた。

組織委は11日が期限の重点措置を継続と想定し、上限を1万人から5000人に見直しての再抽選など新たな案も可能にしていた。ところが、都内の新規感染者数が920人と急増したこの日、解除どころか宣言の再発令に暗転。開閉会式を行う国立などの大規模施設や、試合時間が深夜に及ぶ競技だけでなく、現時点で5000人を下回る会場も有観客が難しくなった。

一方で重点措置の延長にとどまる見通しの埼玉、千葉、神奈川は取り扱いが課題に。8日夜か9日朝に開かれる5者協議の後、橋本会長が各県知事と会談する予定で、首都圏としての対応を話し合うことになる。

また、大会関係者によると無観客の影響を受けるチケットは、一般販売分のほか、これまで「別枠」としていた学校連携プログラム(小中学生の観戦)やスポンサー招待分も含まれる。会場には大会パスを持った関係者しか入れなくなる。

緊急宣言が東京都に再発令されれば6月20日の解除以来通算4度目。今回は8月22日が期限となる。菅首相は「無観客も辞さない」としていた対応について、この日夜は「5者協議で決まる」と話すにとどめた。