男子ゴルフで日本人初のメジャー王者となった松山英樹(29=LEXUS)が、東京オリンピック(五輪)開幕100日前に、金メダルを目指すと堂々と宣言した。

マスターズ優勝から帰国後の14日、オンラインで会見。アジア人で初めて袖を通したグリーンジャケット姿で、「無事に開催されるのであれば、金メダルを目指して頑張りたい」と語った。10年前から追い続けた夢を勝ち取り、次の夢へと歩き始めた。

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男子ゴルフにおける五輪の価値、注目度を松山が押し上げた。13日に帰国し、新型コロナウイルス感染症対策で、14日間の自主隔離期間中のためオンラインで行われた会見。「まだ(日本に)帰ってきてから誰にも会っていないので不思議な感じ。いろんなニュースを見るたびに、すごいことをしたんだなと実感した」。栄光のグリーンジャケットに白い歯が映えた。その中で開幕が100日後に迫った東京五輪に話が及ぶと「無事に開催されるのであれば金メダルを目指して頑張りたい」と力を込めた。

トップ選手の中でも、特にマスターズ王者は敬意を表される。それに対し、112年ぶりに五輪競技に復帰した前回の16年リオ五輪は、男子トッププロの多くが不参加。その中での現役マスターズ王者の金メダル宣言は、世界中のゴルフファンの興味をそそる。ライバルを刺激する。何よりコロナ禍で国内外で停滞気味な五輪へのムードを高める、大きな意味を持つ。

五輪前にはメジャー4大会のうち、残る3大会も行われる。生涯グランドスラムを期待するファンの声には「そういう気持ちは少なからずありますが、今はマスターズが終わって、本当に疲れたというか。今までにない感情。まだ次の目標を決めるところには達していないので、もう少し余韻に浸りながら」と話し、徐々に心身を整えていく。裏を返せば唯一、今後の目標として定めている、五輪への思いの強さが際立った。

マスターズは4日間、柔らかな表情でラウンドした。その前週の大会で振るわず「なんでこんなに怒っているんだろうと自分にあきれた。(マスターズは)ミスを許せる気持ちになった」と、考え方を変えた成果と強調した。グリーンジャケットは「(帰国に際し)さすがに着るのはあれなので、ずっと持っていた。常に持ち歩こうと思っている。どこかに置いてなくなるより、持っているのがいい」と、宝物を手にした少年のように、素顔をさらけ出した。心身ともに最盛期を迎えた松山が、堂々の金メダル候補として五輪に挑む。【高田文太】

◆男子ゴルフの東京五輪代表選考 6月22日付の世界ランキングに基づく、五輪ランキングで出場60人が決まる。各国上位2人に出場権が与えられ、同ランキング15位以内に3人以上いる国は、最大4人まで出場権を得る。現在、日本勢1番手で世界14位の松山の出場権獲得は確実。83位の今平周吾、118位の金谷拓実、134位の石川遼が続き、残る1枠を争う形だ。

<松山英樹の一問一答>

-今年は不調続きだった

松山 結果に結びつけられず、もどかしい日々を過ごしていた。マスターズ開催週の水曜日に練習が終わって「今週いけるかもしれない」と、自分の中で何かあった。そういう気持ちになったことが一番大きい。

-初出場から10年で優勝

松山 最初にローアマチュアを取った後、良い思い出の方が少なかった。今年優勝できて、全部の思い出が良い思い出に変わった。

-次の10年の目標は

松山 先のことは、どういう10年が待っているかわからないけど、目の前の試合を今までも一生懸命やってきた。その姿勢を変えることなくやっていきたい。

-早藤キャディーのお辞儀が世界で注目されている

松山 あの映像を見たのは夜11時くらい。こんなことをしていたんだと。良い行動をしたんじゃないかなと思うし、僕も一緒にできたらよかった(笑い)。

-来年は歴代王者が大会前に集まるチャンピオンズ・ディナーでメニュー考案

松山 どういうものを出せばいいか、想像もつかない世界。時間はあるのでしっかりと考えてやりたい。

-日本の男子ゴルフ界

松山 今は女子ツアーに押されている形ですが、男子も魅力があるし、すごく面白い戦いは見られる。自分が優勝したことで注目されて、男子も面白いと思ってもらえたらうれしい。

-今後について

松山 今まで以上に注目される。クラブをたたきつけるとか、今後はそういうこともないようにしたい。