東京オリンピック(五輪)ゴルフ女子の畑岡奈紗(22=アビームコンサルティング)と稲見萌寧(22=都築電気)が、日本に2つのメダルをもたらす! ゴルフ女子の服部道子女子コーチ(52)が、2日までに日刊スポーツのインタビューに応じ、2人のメダルの可能性に太鼓判を押した。ともに会場の埼玉・霞ケ関CCへのコース適性があり、畑岡は上り調子、稲見は大舞台の強さに後押しされ、ダブル表彰台の可能性も十分と語った。【取材・構成=高田文太】

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16年までに改修を終えた五輪仕様の霞ケ関CCを、すでに10回以上ラウンドしている服部氏は、確信したような表情を見せていた。五輪で畑岡と稲見のワンツーフィニッシュ。そんな最高の結末もあり得るのかという質問に「はい!」と、間髪入れずに答えた。さらに「やはり地の利というのは大きい。日本でやる安心感があるし、霞ケ関CCにも慣れている」と続けた。同CCで毎年、日本ジュニア選手権を開催。畑岡も稲見も、アマチュア時代からコースを知る強みがある。

改修前を含めれば数え切れないほど回った霞ケ関CCを、服部氏は「ショットメーカー向き」だという。畑岡は7月に行われたマラソン・クラシックで、2年ぶりとなる米ツアー4勝目を挙げ、持ち前のショットに正確性が戻ってきた。稲見は19年に、国内ツアー史上最高のパーオン率78・21%をマーク。「改修でグリーンが2つから1つに、アンジュレーション(起伏)のある大きいアメリカンタイプになった。あとは深いバンカーが特徴。攻めて外した時、しっかりキープできる選手が有利」と分析。その上で2人は「合っていると思います」と断言した。

昨年3月、畑岡が実際に霞ケ関CCで行った練習ラウンドに同行した。「勝手に私がついて行った感じで(笑い)。しっかりとマネジメントをしながら、じっくり回るタイプ。真のプロフェッショナル」と感心する。稲見ともGMO&サマンサ・カップ前の14日に会って話した。「攻め方も違うし、それぞれ分かっていると思うけど、聞かれれば力になりたい」と、五輪会場の豊富な知識と経験を惜しまず還元するつもりだ。

渋野日向子、古江彩佳との代表争いが繰り広げられたが「誰が選ばれても金メダルを取ることができる選手と思っていた」と、自信はある。その中で勝ち抜いた2人だけに「すごく勝負強い」と頼もしく感じている。畑岡には「ずっと日本を引っ張ってきたエース。全てがそろっている」と、上り調子だけに期待も大きい。稲見には「勢いがあって物おじしない性格」と大舞台の強さを予感。「自分たちで勝ち取った出場権。コロナ禍でいろんな不安もプレッシャーもあると思うけど、自分のためにやってほしい。私なりにそのサポートができれば」。

前回の16年リオ大会で、112年ぶりに五輪に復活したゴルフ。日本人初のメダリストが、同時に2人現れることを心から願っている。

 

○…7月16日に発売された服部氏初の著書「好転力 心をシンプルにすればうまくいく」(税込み1760円、世界文化社)が好評だ。書店からの予約が相次ぎ、発売前から重版が決定。さらなる部数増も見込まれるが「印税は全て寄付させていただきます」と、ジュニアアスリート育成などスポーツの発展に尽力の考えだ。著書ではジュニア時代からツアー通算18勝を挙げるまでの現役時代、第1子の男児出産、子育てなど引退後などを通じて、服部氏を支えたさまざまな言葉や人との出会いを紹介している。