体操で16年リオデジャネイロ五輪女子4冠のシモーン・バイルス(24=米国)が、演技を断念するアクシデントが起こった。27日に行われた団体総合決勝で、2種目以降に出場せずに他の選手と交代した。バイルスは故障ではなく、精神的ストレスが原因だったことを打ち明けている。

ストレスの要因として新型コロナウイルス禍による開催の1年延期や、無観客開催などを挙げており「今回の五輪はストレスがかかっていた。以前のように自分を信じられない。楽しめていない」などと、涙ながらに語った。

バイルスは世界選手権で歴代最多19個の金メダルを獲得するなど“絶対女王”として東京五輪に臨んでいた。昨年、五輪の延期が決まった直後には「何も考えられず、ただ座って泣いていた」と失意に暮れていたことを明かしていた。

25日の予選では個人総合で1位通過したものの、演技の乱れが目立っていた。3連覇を狙っていた米国は銀メダルに終わっており、試合後の記者会見ではバイルスの決断に理解を示すチームメートの言葉が相次いでいた。バイルスは「(1回目の)跳馬が終わって、他の選手が出場した方がいいと思った。彼女たちは金メダルを諦めなかったし、戦えることを世界に示した」とたたえた。

2連覇が懸かる29日の個人総合決勝の出場について、バイルスは「心の休息日を1日取れる。心の休息日を設けることは、素晴らしいことだと思っている。そこからまた取り組みたい」と話すにとどめた。

五輪に出場したことについては「とても満足している」と強調。ケガの可能性については「いいえ、プライドが少し傷ついている」と話した。