よくあの接戦の中で自分の体操をやりきった。すごいですよ。(内村)航平が北京(08年)で出てきた時と同じような想像を超える活躍。当時は自分も若かったから単純な比較はできないけれど、精神的な安定感は航平以上かもしれない。

つり輪で順位を落とし、跳馬でミスした後の平行棒は15点台の高得点をマークした。引きずってもおかしくない場面で、見事な気持ちの切り替え。技術はもちろんだけれど、メンタルの強さが素晴らしい。思ったような展開にならない時、どう自分の強さを発揮するか。それができるのが強みです。

今の日本選手は、みんな技術がある。代表選考会など国内でハイレベルな試合をしているから、メンタルが強くなったのでしょう。もし谷川航が出ていても、優勝争いができたはず。そのくらい、今の若手は強い。

3年後のパリ五輪に向けて、つり輪など得点は上げられる。それが伸びしろになる。まだ19歳。同世代には5位になった北園というライバルもいるから、競り合えばさらに伸びる。日本体操界の未来は、航平が出てきた時と同じ、いやもしかしたらそれ以上に明るいかもしれません。(04年アテネ五輪団体金メダリスト)