超一流のアスリートには常人では理解できない記憶力が備わっている。プロ野球の松井秀喜はホームランを全て覚えており、ボクシングの村田諒太は自分の試合を問わず、数々の試合の詳細をそらんじれる。橋本も同じだ。世界選手権をテレビで見れば、その後に録画を見た時には全演技者の詳細、得点を言い当てる。「この人の点数は…」と全問正解で周囲を驚かし、「お前すごいな」と驚かれてニッコリする。

見る力、覚える力は「目でも練習しなさい」という小学生時代の教えを守っている事が大きい。今でも練習の合間には、他選手の技を注視する。演技の合間は仲間としゃべることが多い体操選手の中では、常に誰かに目線を送る光景は異色だ。この日、金メダルを争う舞台でも、自分の演技時間以外は世界のライバル達を観察する姿があった。【阿部健吾】