ホッケー女子日本代表「さくらジャパン」MF真野由佳梨(26=ソニー)が、1年延期の東京オリンピック(五輪)で金メダルを誓った。代表合宿中に延期が決定。アンソニー・ファリー監督(46)からスポーツの喜びを忘れないように求められた。19年6月の五輪テストイベントではゲーム主将も務めた26歳は練習もままならない状況で、満開のさくらを咲かせるために、その日に待つ。【取材・構成=益田一弘】

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延期決定を、本番会場の大井ホッケー場で聞いた。

真野 私たちは合宿期間中でした。私自身は、日本中、世界中で感染拡大が広がっている状況を考えると、五輪の延期は避けられない。それと同時に緊張感と楽しみな気持ちを両方抱えて挑んだ合宿を急きょ中断し、複雑な気持ちがこみ上げてきたのも事実です。

代表チームの一時解散。真野ら選手はファリー監督からこう語りかけられた。

真野 監督からは「五輪の延期で選手それぞれが複雑な苦しい思いを抱えていると思う。でも私たち以上に、世界中で苦しい思いをしている人がたくさんいることを理解する必要がある。そして、ここにいる仲間とホッケーに打ち込み、厳しく苦しいトレーニングをしている今が、私たちの人生で一番最高な瞬間だということを忘れないで欲しい」という話があった。厳しい練習中は忘れがちですが、人生の中で東京五輪に向かえるのは、あとたった1年半の時間しかない。

「さくらジャパン」は東京で5大会連続五輪出場になる。過去最高は04年アテネ五輪8位だが、東京では金メダルが目標だ。真野は16年リオデジャネイロ五輪、18年ジャカルタ・アジア大会では金メダルに貢献したチームの要でもある。

真野 私たちは試合前に「PLAY FOR EACH OTHER」という言葉をよく使います。「自分以外の誰かのためにプレーをする」ことがチームを前に進める機動力になる。個人の強化ポイントは、サークル内のプレーの選択肢を増やすこと。あらためて自分のプレー姿勢やスキルなど細かい部分に向き合って取り組んでいきたい。

現在は地元・岐阜に帰省し、工夫する日々を送る。

真野 練習ができない日は、家でのバイクや体幹のトレーニング。家で過ごす時間も多いので、普段以上に食べるものに気を使ったり、本を読んだり、ストレッチに時間をかけたり。おすすめの本は長谷部誠さんの「心を整える」。気になる言葉には付箋を貼って、1年に1度は読み返そうと決めている本。気分が暗くなりそうな時は早朝5時に家を出て近所の小さな山にランニングで行き、山頂で日の出を見たりします。ホッケーはスピード感あふれるスポーツでゴールが入った瞬間に、コート中に響くゴールの音が最高です。1年半後の東京五輪で金メダルをとること、私たちがホッケーを有名にするという目標は変わっていません。