東京五輪柔道男子100キロ級代表のウルフ・アロン(24=了徳寺大職)が26日、五輪延期に伴う「代表再選考論」について、全日本柔道連盟(全柔連)に早期決断を求めた。

地元の東京・葛飾区でのトップアスリート認定式に出席。柔道は2月末までに男女全14階級のうち男子66キロ級を除く13階級で五輪代表が決まった。元世界王者は五輪延期を受けて、他競技の代表再選考と比較し「ちょっと連盟の判断が遅い。全ての選手が『早めの判断を』と思ってるはずだし、自信を持って『今の選手でいく』と言ってほしい。何を危惧しているのか分からない」と疑問を呈した。

全柔連は20年東京五輪で金メダルを量産するために「3段階」による早期内定制度を導入した。代表選手の準備期間確保を重視し、「東京五輪で金メダルに最も近い選手」として、代表13人を選出した。しかし、五輪が1年程度の延期となり、代表の再選考を検討している。昨年12月に右膝を手術したウルフは、万全の状態でなく「準備期間が長くなって良い」と前向きに捉えるが、「五輪は20年までに一番強い人が競い合うのが道理だと思う。延期が2年なら再選考も分かるが、1年はないと思う。仮に再選考となっても勝つ自信はあるが、自分が落選した立場であったらそこから代表になりたいと思わない」と話した。

競技発祥国で、国内に強豪が多数いる柔道の代表選考は難しい。日本代表は五輪金メダルを獲得するために、全柔連強化委員会はあくまでも「対外国勢との強さ」で代表を決めた。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、国際大会の再開の見通しが不透明の中、代表再選考となっても選考する場がないといのが現状だ。ウルフも「柔道の場合、一発勝負の日本人対決では決まらない。そういった意味でも、このままがいくのが普通かと思う」と説明した。昨年4月に一般女性と結婚した24歳の強者は、左手薬指に金色の結婚指輪と金色の時計を付け、五輪モード全開だった。【峯岸佑樹】