19年世界選手権銀メダルで初出場の向翔一郎(25=ALSOK)は3回戦で敗退し、メダルを逃した。日本男子の初日から続いていた金メダルの記録は「4」で途切れた。

世界ランキング3位のトート(ハンガリー)との3回戦では、延長2分55秒に場外際で捨て身技を仕掛けたところを相手に大内刈りで返された。主審は「待て」の合図を掛けたが、ビデオ判定で「一本」となった。取材エリアで向は「これが勝負の世界。(勝敗は)どっちに転んでもおかしくない。あの最後の捨て身技は後悔していないし、本能のままに柔道をして、それが結果につながらなかった。今日は圧倒的に勝つつもりだったけど、勝たなかったら話にならない」と悔しさを押し殺し、すがすがしい表情で振り返った。

初戦の2回戦は得意の背負い投げで技あり2本奪い、合わせ技一本と出だしは好調だった。

「ここまで調整していろんな支えがあった。問題ある中でサポートしてくれてありがたかったし、『恩返しは結果で』と思ったがそれができず本当に申し訳ない。願わくば、もう少し試合がしたかった…」

日大時代に度重なる遅刻で柔道部の出入り禁止やSNS問題を起こし、独自の道を歩んできた「柔道界の異端児」の戦いは2試合で終わった。