初出場の第5シード、ウルフ・アロン(25=了徳寺大職)が決勝で趙グハム(韓国)に一本勝ちし金メダルを獲得した。

延長5分35秒に優位な組み手から鮮やかな大内刈りで勝利をつかみ取った。

歓喜の涙をぬぐうと「自分の持ち味はああいう泥臭い柔道。最後まで貫けて勝ててよかった。練習量だけは誰にも負けない自信があった。自分を信じて闘った。支えてくれた家族などに感謝を伝えたい」と喜びの味をかみしめた。

100キロ級では小柄な181センチだが、内股と強靱(きょうじん)なスタミナを武器に五輪代表争いを制した。19年ワールドマスターズ大会では右膝を負傷し手術を受けた。五輪に不安を残していたが、五輪1年延期に伴い準備に時間をかけることができた。同階級では日本男子監督を務める井上康生が制した2000年シドニー五輪以来となる金メダル。17年世界選手権、19年全日本選手権を制覇した25歳の柔道家が、夢の「3冠王」となった。

◆ウルフ・アロン 1996年(平8)2月25日、東京都・新小岩生まれ。日本の大学で英語講師を務める米国人の父ジェームスさんと日本人の母美香子さんの間に生まれる。6歳の時、祖父の勧めで講道館にある春日クラブで柔道を始める。千葉・東海大浦安高-東海大-了徳寺大職。高校時は団体戦で全国高校選手権、金鷲旗、総体の3冠。世界選手権は17年優勝、185位、19年3位。19年12月に右膝半月板を損傷し手術。世界ランク5位。左組み。得意技は大内刈りと内股。趣味は料理。181センチ。