空手の東京五輪組手女子61キロ超級代表で、パワーハラスメント被害を訴えている植草歩(28=JAL)が31日、東京都内で全日本空手道連盟(全空連)が設置した倫理委員会による聴き取り調査を終え、「きちんと話をしてきました」と詰めかけた報道陣の前で述べた。

代理人を務める境田正樹弁護士は、この日に倫理委員会で交わされた内容については明かせないとした。そのうえで一部報道にあった、全空連の香川政夫・選手強化委員長による竹刀を用いて顔面をつく練習が、医師から止めるよう伝えられたあとも継続されていたことを問題視。「こういった問題のある指導が続いてきたのは、スポーツ団体としてあるまじき行為。なぜ是正されなかったのか」と語気を強め、全空連に追加書類を提出する意向を示した。

倫理委員会はこの日、香川氏からもヒアリングを行う。4月に開く臨時理事会で処分が決まる。

植草は28日に自身のブログで、帝京大時代の恩師にもあたる香川氏から、練習中に竹刀で目をつかれるなどの行為や、自尊心を傷つけられる言葉を受けたと説明した。

五輪種目採用を目指してきた空手の競技普及や広告塔的な役割も担ってきた植草は、16年に女子68キロ超級で世界選手権初優勝。東京五輪選考対象となるプレミアリーグで好成績を残し、昨年2月の大会で代表の座を確定させた。

東京五輪開催を約4カ月後に控えるなかで、有力選手と強化のトップが対立する異例の状況となっている。