国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長が27日、緊急の電話記者会見に応じ、7月24日開幕の東京オリンピック(五輪)を予定通り実施するため全力で準備する意向を表明した。新型コロナウイルス感染拡大の影響で多方面に混乱が生じている状況。1年延期など、開催を危ぶむ声が出る中で、IOCのトップがあらためて指針を示した。

国際スポーツ界で大会の中止や延期が相次ぐ。五輪を巡ってIOCの最古参委員、ディック・パウンド氏が開催の判断期限は5月と発言。東京五輪の準備状況を監督するIOC調整委員会のジョン・コーツ委員長も地元オーストラリアの新聞に、パウンド氏に同調する考えを示した。パウンド氏はさらに、ロイター通信のインタビューで「1年延期」の可能性まで踏み込んだ。

東京五輪の開催危機が広がる中、バッハ会長は中止や延期、代替開催などの可能性について「推測や仮定の話には答えない」と明言しなかったものの「日本政府や(東京五輪)大会組織委員会と緊密に連携し、選手や観客の安全を最優先に大会成功へ全ての準備をしっかりやっていく」と、予定通りの開催に全力を尽くす考えを口にした。

大会組織委員会の武藤敏郎事務総長もパウンド氏とコーツ氏の発言を否定。「IOCと我々は全く一致している。(開催判断の)タイムリミットはない。IOCに確認したところ、コーツさんは釈明したいと言っているらしい。IOCの公式な立場は変わっていないと思っている」と話した。