日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕会長(62)が27日、政府による緊急事態宣言の全面解除後初めて取材に応じた。

来夏に延期された東京五輪を見据えて「解除は非常にうれしいが、秋口に第2波が来る可能性があると言われる。我々スポーツ関係者は、スポーツからコロナを拡大させない。これが、我々にとって極めて大切な五輪に向けて不可欠になる。油断せずに取り組んでもらいたい」と表情を引き締めた。

新型コロナウイルス感染拡大で、競技会は軒並み中止となった。財政面で苦境に立つ国内競技団体(NF)について、山下会長は「スポンサー収入、入場料、放映権料、(選手)登録料…。各NFも非常に厳しい状況。なんとかそういうところを理解していただいて。(政府などの)支援の枠組みに入れてもらえるように努力していく」。JOCとして支援策を積極的に働きかける考えを示した。

また全国大会が中止となった中高生に向けて、私案も披露した。「若い選手たちはいろんなものがなくなってつらいですよね。代替えのものを考えていかないと。(競技全体を)まとめては難しいけど、可能であれば、それぞれの競技ごと(の大会)を」とした。

都内のナショナルトレーニングセンター(NTC)の利用制限も緩和され始めている。山下会長は「ずっとステイホームで、ストレスがたまったり、体力が落ちたりしたと思う。いろんな団体が非常に厳しい中でコロナを拡散しないように努力してくれた。選手たちも我慢してくれていたんじゃないかと思います。人々が人間らしく暮らしていくためには運動、スポーツは欠かせない。感染拡大を防ぐことは守らないといけない。その中で少しずつ人間らしい生活が戻ってくればいいなと思う」と神妙な表情だった。【益田一弘】