東京五輪・パラリンピック大会組織委員会は7日、新型コロナウイルスの影響で来夏に延期された大会の簡素化に伴う経費削減額が約300億円に上ると公表し、国際オリンピック委員会(IOC)理事会に報告した。金額は暫定的なもので今後変動するという。

会場整備費など既に契約済みのものが多く、ある組織委幹部は「乾いたぞうきんを絞るようなものだった」と苦労をにじませた。一方で数千億円に上る見込みの延期による追加経費の額と比較すると、物足りない簡素化との指摘もある。

組織委は6日深夜まで削減額の調整に追われた。具体的に見ると、会場の仮設整備の見直しが最も多く150億円の削減効果が見込めた。組織委解散計画を現時点から並行して行い、大会後の組織委人員を抑制する効果が次に多く30億円。会場や選手村等の装飾の20~40%削減や大会関係者の人数調整効果が10億円と続いた。国立劇場でのIOC総会開会式を取りやめた効果は1億円となった。

今後、ここにコロナ対策費がかさむ可能性がある。一方でコロナ対策は五輪がなくても国がやるべきものとし、五輪予算の枠外として計上しようという議論もある。ただ都民、国民の関心は五輪に実際どれだけの経費がかかるのか。24年パリ五輪も、経費削減に積極的な東京大会の簡素化計画に関心を寄せているという。12月に明らかになる追加経費で増大する経費をいかに抑制できるかが課題となる。【三須一紀】