東京オリンピック(五輪)・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長(83)が辞任する意向を固め、後任として起用の最終調整に入っている日本サッカー協会(JFA)相談役の川淵三郎氏(84)が11日、自宅前で報道陣の取材に応じた。以下は川渕氏との一問一答。

-後任のお話については

川淵氏 うーんどういえば言いのかな。森さんが言ったから、決まるわけではないよね。組織委員会での理事会での互選だからね。手続きについては、僕はさっぱり知らん。まあ、森喜朗さんが是非やってほしいという推薦をするって意味だな。組織委員会が反対すりゃ僕は選ばれないわけで、いずれにしろ僕は森さんの期待に沿うべく、9月までの短い間に自分としてはベストを尽くせばいいかなって思っています。ただ、先に言ったように、僕が理事として選ばれて、互選で選ばれるわけだから。そういう段取りをしなくてはいけないわけです。森さんが「川淵よろしく」と言って、決まるわけじゃない。

-ご本人のお気持ちとしては前向きということですか

川淵氏 前向きにならざるを得ないでしょう。

-今日森さんとはお話ししましたか

川淵氏 森さんと1時間ぐらい話した

-どのようなことを話しましたか

川淵氏 僕が引き受ける、引き受けないというよりも、全部外堀を埋められていたという感じ。森さんの意向に反して、「勘弁してくれ」とはとても言えない状況だったね。あれだけラグビーのワールドカップをはじめ、今度のオリンピックだっていろんな準備、いろんなご苦労があってここまで来たんでね。残りわずかなところで退任されるというのは、本当に残念だと思うんだよね。でもほとんど準備はそろっていて、残りは観客動員をどうするかとか、感染の防疫体制、それから観客をどう入れるかとか。検討していかなければいけない問題は、割合限られていると思うんだよね。森さんの今までやっている成果を、僕が横取りするような形は一番嫌なことなんだよね。影の人として最後、成功に向けて努力できればいいなと思っています。開催できるかどうかはまだ分からないけど、森さんの意向をくんで全力を尽くすことができたらいいなと。選ばれてないのにこんなこというのはおかしな話なんだけど。ただ、皆さんがおられるので、知らんぷりして帰るわけにいかないから、申し上げている。本当はちゃんとした立場になった時に話をしたい。家族もみんな反対なんだよ。はっきり言って。Jリーグの時にいろんな嫌な思いがいっぱいあったからね。だからそういうことに家族も二度と遭いたくない。これだけ多くのカメラマンの方が来て、皆さんが大変な努力をいただいて寒い中でご苦労なんだけどね。家族としては一番嫌なことなので、僕としても避けたかったことなんだけどね。この際、選ばれた限りは国のために努力したい。本当は選手村の村長さんの方がずっと良かったけどね。もうちょっと気楽な立場でやれると思った。いずれにしろ僕の人生の最後の大役ということでベストを尽くしたい。もし選ばれればという前提です。その前提を皆さんもご理解いただきたい。

-もし選ばれたら、どういうところで力を発揮したいですか

川淵氏 そんなことまでまだ考えてないよ。いずれにしろ成功に向けて努力するということだよね。今は開催できるかどうかすらまだ明確ではないからね。防疫体制をどのようにしっかりして、どういう風に対処するか。やっぱり日本で開催する大前提は、今の感染状況を悪化させない。少なくともその時の感染状況のままオリンピックが開催できたら、それは成功と言えるよね。もちろん減ればかなり良いけど。ただ開催して感染状況が悪化したら、なんでオリンピックをこういう時にやるんだってなってしまう。それを避けるためにどういう支度が必要なのかというのが、今度のオリンピック開催における一番の問題だと思うね。

-やる場合は無観客だと意味がないとおっしゃていた

川淵氏 そう思う。やっぱり僕はそういう立場になった場合に、Jリーグが去年お客さんを入れて、プロ野球もお客さんを入れて特に問題ないわけだよね。今度の2月からJリーグがスタートして、プロ野球も4月からお客さんを入れて再開するよね。そういうところでクラスターが発生せず今までと同じように問題がないのに、なんで無観客でやらなくちゃいけないの。外国の観客については、条件や日本の指示に従う前提での取り決めがきっちり行われた時、お客さんを入れてやるのは可能だと思うよね。医学的、科学的な検証をしっかりした上で、どう開催していくか。国民みんなに「それなら良いんじゃないか」と理解や思ってくださることが、最低限の条件だな。

-多様性について世界から注目されているが、川淵さんはどう感じていますか

川淵氏 今回、森さん1人がおかしいというのではなくて、日本人の僕らの年代も含めてだけど、多様性というか女性のそういう差別化というのは、なんか当たり前のようなことに今まで来ているからね。森さんがそうおっしゃたことで、結果的にこういう風な大問題が起きたんだから。日本の女性の差別、ダイバーシティ、ジェンダーの自由化というのか。そういうことに対して前向きに捉えていくことが大事。それがきちんとやれれば、森さんの発言も日本を変えるきっかけになったと言えるんじゃないの。

-ご自身のツイッターでオリパラの最終決定は「3月末頃」と私見を述べている

川淵氏 それはもう俺の推定で、そんなもんじゃねえかなと思っているだけで、正式に言われたわけじゃないですよ。その時は僕は関係ない時点で言っているんでね。でもそんな感じだよな。どう見ても。よく分からないけど。4月に延びるかもそれは分からないけど。それは僕の個人的な感想で公に言われていることでは全くありません。今までツイートで言ったことは、全部あれは個人のつぶやきだからね。公の部分は評議員の議長であったとしても、そんな一切ないからね。