東京オリンピック(五輪)・パラリンピック組織委員会の橋本聖子会長(56)が25日、都内で取材に応じ、海外からの受け入れ可否など観客に関する判断について「聖火リレーがスタートするあたりには方向性を示さないといけない」との意向を示した。聖火リレーは、ちょうど1カ月後の3月25日に福島・Jヴィレッジから始まる。

スポーツ庁の室伏広治長官と面会後、前夜に国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長が海外客の判断時期について「4月から5月初め」と、デュビ五輪統括部長が「4月の終わりが適切だと思う」と述べた見解について問われると持論で返した。「聖火ランナーが走るということは、開催に向けて走っていくこと。そのタイミングは大事」とし、記者団から「3月25日がメドということか」と確かめられると「そうですね。その前後になるんじゃないかなと。理解される形にならないといけない。なるべく先に延ばさないよう方向性だけはしっかり打ち出したい」と明言した。

五輪相の時は「春」と答弁してきた橋本会長。それが「3・25メド」と踏み込んだ背景には、選手第一の思いから強く持っている開催へのこだわりと、国民の不安を和らげるため海外客の受け入れを早く断念してはどうか、との一部政府内の声に接してきた五輪相時代の考え方がありそうだ。

国内在住者と海外からの観客を分けて判断する「2段階方式」案が判明していた件は、デュビ部長が前夜に「2つのステップで決定を下すかもしれない」と認めた。橋本会長も「段階的にどう考えていくか。しかし、まずは全体をどうするべきか。観客の全体像を打ち出すのは、できる限り早い方がいい」。全体とは、海外客を含めた大枠の方向性であり、第1段階。次の段階で観客上限など国内の判断に続く。大会関係者によると、来週開催で調整している国、都、組織委、IOC、国際パラリンピック委員会の5者協議で、観客について話し合われる可能性も出てきた。【木下淳】