東京オリンピック(五輪)・パラリンピック組織委員会の橋本聖子会長(56)が2日、東京・晴海で定例会見を開いた。

組織委が前日1日に、同日発売の「週刊文春」と3月31日の「文春オンライン」に掲載された東京大会の開閉会式の演出内容などを伝える記事を受け、掲載誌の回収とオンライン記事の全面削除などを求めた件について言及した。

橋本会長は、抗議した理由について「報道の自由を制限するということでは全くありません」とした上で「ただ、280ページに及ぶ内部資料が、機密情報が拡散された。業務妨害に当たるということで、今回は抗議させていただくことになりました」と語った。

「週刊文春」側が著作権法違反には当たらない、と指摘していることに関しては総務局の五十嵐敦法務部長が対応。「著作権法の第41条には時事の報道目的に関しては違反にならないとあります。ただ、正当な範囲内、等の要件も規定されていて、我々としては41条の適用はないとの判断での抗議でございます」と説明した。五十嵐氏によると、抗議文は会長名で出しているという。

また「週刊文春」側が「巨額の税金が浪費された疑いがある開会式の内情を報じることには高い公共性、公益性があります」としていることには伊藤学司CFO(最高財務責任者)が「一部は東京都が負担している」と答えた。都の公表によると、セレモニーや聖火リレー関連の予算は37・5億円が計上されており、その一部が公金として開会式の準備にも投じられる。開閉会式全体の予算は165億円となっている。

会見後、再び取材に応じた五十嵐法務部長は、訴訟に踏み切る展開を否定せず「あらゆる可能性を含めて検討します」と話した。

著作権法に違反すると組織委が考えている部分については「侵害は画像(演出内容の一部を掲載)。高度な機密として管理されていた情報が表に出ると、業務に支障を来す」と説明。「警視庁に相談しています」とも明らかにした。