北朝鮮体育省が運営するウェブサイト「朝鮮体育」は6日、同国オリンピック(五輪)委員会が東京五輪への不参加を決めたと伝えた。東京大会に参加しないと表明した国は初めて。

記事によると3月25日に平壌で開いた総会には、委員会のメンバーやスポーツ関連分野の関係者が出席。オリンピック委員会のメンバーから提案があり、新型コロナウイルス感染症から選手を保護するために参加を辞退することを決断したという。

これを受けて、大会組織委員会は同日にコメントを発表した。報道は承知しているとした上で「各国地域へのオリンピック参加につきましてはIOC(国際オリンピック委員会)がNOC(国内オリンピック委員会)を招待するものであり、組織委としては開催都市契約に則り、各国地域のアスリートがベストなパフォーマンスが発揮できるよう関係機関としっかり連携し、大会準備を進めていきたい」とした。

組織委幹部は「コロナから選手を守るためと言うが、北朝鮮がどこまで本音かどうか分からない」。日米韓への駆け引きかもしれないとも指摘した上で「バッハ会長は韓国と北朝鮮の合同チームを平昌五輪に続いて結成したいと話していた。これではバッハの立場がない」と困惑する。

在日朝鮮人選手の関係者も寝耳に水の一報に驚きを隠せない様子だ。東京大会で新種目となった空手では、東京・朝鮮大学校を拠点に本大会出場を目指す代表選手もいた。選手をサポートする関係者は取材に「全く知らなかった。今日聞いた話なので、事実関係の把握を急ぎたい」と話す。

朝鮮総連の関係者は「延期前には選手の予備登録もやっていたのだから、コロナがなかったら出るつもりだったはず」と私見を述べ、政治的な思惑があるのではとの推測をきっぱりと否定。「大会に参加するとなれば応援したかった」と肩を落とした。