東京オリンピック(五輪)・パラリンピック組織委員会の橋本聖子会長が7日、都内で行った定例会見で、国際オリンピック委員会(IOC)が世界の全選手団にファイザー社製ワクチン提供すると発表した件について「より安心安全な大会を開催するということでの決定だ」と前向きに受け止める姿勢を見せた。

橋本氏は「何よりも国内の優先接種対象者に影響が出ては、日本選手団、アスリートは特に大変なプレッシャーがかかる。そういったことに支障を来さない中で、どのように接種していただけるか、環境整備していただけることが大前提」とした。さらに「多くの皆様方がまだワクチン接種されていない状況から見ると、非常に違和感を感じていらっしゃる方が多いと理解している」とも話した。

前提を話した上で「できるだけ多くの方に接種して日本に来ていただくのは、日本国の安心安全にも寄与していただけるということにもなる」と強調。さらに「受け入れる側の選手団としても、JOC(日本オリンピック委員会)山下会長、JPC(日本パラリンピック委員会)鳥原会長からも前向きに捉えていきたいとの話があったと聞いている。できる限り選手団の健康を守る意味においても、アスリートの視点から進めていっていただければ」。慎重に言葉を選びつつ、安心安全の観点から、各国政府確保分とは“別枠”の全選手のワクチン接種を期待する姿勢を見せた。

○…東京五輪に選手を送るある競技団体の強化責任者は「(接種)辞退を考える選手が出てくるのでは」と懸念した。「別枠」という説明をされても、世間体を気にする可能性を指摘。「こんな状況で本当に五輪が行われるのか」と、自身も依然として不安を抱えながら職務を行っているという。