東京オリンピック(五輪)・パラリンピック組織委員会の「ジェンダー平等推進チーム」の長を務める小谷実可子スポーツディレクター(SD)が17日までに日刊スポーツの取材に応じ、発足から2カ月余りが経った推進チームへの手応えを語った。

発足後まもなく3500人の職員を対象に、多様性と調和をどう広げるかの観点でアンケートを実施した。ステークホルダーからはSDGs(持続可能な開発目標)の取り組みに関して意見を募り、40件以上の回答を得た。表彰式のメダルプレゼンターを男女のバランスに配慮する方針を示すなど独自の取り組みにつながったと話し、小谷SDは「職員の中には大会機運が上がらず悩む中、五輪に携わることへの誇りを再確認できる機会になっています」と目を細める。

20年近く前にアジア・オリンピック評議会(OCA)にいた時、理事の中で女性はただ1人。歴訪先で「他の役員の同伴者としか思われていなかった」(小谷SD)。当時は違和感を持つことはなかったが、自身も推進チームの活動をきっかけに見方が変わった。「組織に幅広い視点を反映する上で、女性の起用が大切です」と今では思う。

推進チームに携わる職員はそんなトップの姿が励みになっている。

総務局持続可能性部長の荒田有紀さんは各職員への浸透を図る上で「(小谷SDは)先導役として引っ張ってくれる」と信頼を寄せる。スポーツ局の近藤正之介係長は活動を通じて「できている方だと思ったけど、あまりに無知だった」。職歴や学歴で人をカテゴライズすることもまた多様性の理念に反すると気が付き「考えなきゃいけないことは多いけど、声を上げ続けることが大事」と気持ちを新たにしている。

女性アスリートの競技環境を整える上での生理の問題など、これまであまり光の当たってこなかった話題も積極的に取り上げる。チームが立ち上がった経緯は決して褒められるものではない。それでも小谷SDは「可視化していくことが大事だから」。足取りを緩めることはない。【平山連】