東京オリンピック(五輪)・パラリンピック組織委委員会の橋本聖子会長(56)が28日、都内で定例会見を開き、国際オリンピック委員会(IOC)幹部に国民感情を逆なでする発言が相次いでいることへの見解を求められた。

トーマス・バッハ会長が開催に向けて「我々は犠牲を払わなければならない」と述べ、日本国内から「なぜ犠牲にならないといけないのか」「誰に対して犠牲を求めているのか」と反発された件について代弁。「バッハ会長の一連の発言について、しっかり説明を受けました」と後日会話したことを明かした上で「日本人が犠牲とは言っていないと。誤訳だったと。そのことを、あらためて私からもここで説明したいと思います」と代わって釈明した。

IOCも発言直後、スピーチの詳細を公表。「日本国民ではなく、オリンピックのコミュニティー、ファミリー、ムーブメントが犠牲を払わなければならない」ことが真意だったと説明し、火消しに躍起だった。

また、先週の調整委員会でジョン・コーツ委員長が緊急事態宣言中でも五輪を開催できるか問われ「イエスだ」と断言したり、英紙に対して最古参のディック・パウンド委員が「アルマゲドンでも起きない限り大会は開催される」とコメントしたりしたことも、火に油を注いでいる。

その中で橋本会長は「IOCも、開催へ強い意志を持って取り組んでおられますので『強い意志の表れ』が『強い言葉』になっているんだろうなと思います。情熱が言葉になって出てしまっているのかなと。ただし、そのような強いメッセージを、何が何でも開催するんだ! という強さではなく、皆さまにご理解いただけるような表現を私ども組織委から、しっかり発信していかないといけない」と丁寧な説明に努めた。【木下淳】