東京オリンピック(五輪)・パラリンピック組織委員会は23日、競技会場内における酒類の販売について前日の説明から一転、販売中止を発表した。

前日までは「過度な飲酒はお控えください」との内容で観客へのガイドラインで示すよう調整していた。

会見した橋本聖子会長(56)は「国民が少しでも不安に思うなら断念すべきだと決断した」と語った。酒類の持ち込みも禁止する。VIPら関係者が利用する専用ラウンジでも酒類は提供しない。

最高額が600万円超だったセレブ向けの「ホスピタリティーパッケージ」と呼ばれるチケットでも酒の提供を取りやめる。会場内で高級な料理や酒を飲食しながら試合観戦できることが売りだったため、購入者の反発が予想される。料金の一部返金などについて組織委の担当者は「委託事業者の判断」とだけ説明した。関係者によると事業者に購入者からの問い合わせ電話が殺到しているという。

東京大会の酒類提供スポンサー「アサヒビール」は酒類販売の中止を「支持する」と表明。22日に提供を見送るよう組織委に提言したといい「多くの飲食店で酒類提供が制限されている状況で今回の決定は当然」とのコメントを発表した。

会場で酒類を販売できなくなったアサヒビールに対し、スポンサー料の一部返金や違約金が発生するか問われ武藤敏郎事務総長は「発生することはないと考える」と否定。「もともとアサヒビールさんは販売権ではなく、供給権を持っていた。今回の決定には同意見なので発生はないと思う」と述べた。【三須一紀】