新型コロナウイルス感染拡大の影響で海外からの観客の受け入れを断念した東京オリンピック(五輪)を巡り、授乳が必要な乳児を連れて来日できないことに一部の選手から抗議の声があがっていた問題で6月30日、主催者が一転して帯同を認めた。

参加選手が子どもを同行させることが可能になったと米NBCテレビの情報番組トゥデイが報じた。

来日する関係者の人数を制限するため、選手たちは子どもを含む家族を同伴することが禁じられていた。しかし、抗議の声を受けて「授乳中の子どもを持つ選手が直面する状況を慎重に検討した結果、必要に応じて子どもを日本に同行できることを確認した」と大会組織委員会が方針を撤回したと伝えている。

しかし、大会組織委員会とIOCは子どもとその面倒を見る世話係以外の家族の同行や選手とチーム役員以外の立ち入りが禁じられている選手村の居住区滞在も認めない方針で、授乳中の子供は承認されたホテルに滞在する必要があると伝えている。

子どもの来日を巡っては、昨年5月に長女を出産したサッカー米国代表のアレックス・モーガンや今年1月に第1子が誕生したばかりのマラソンの米代表アリフィン・トゥリアムクらが、「五輪か家族かどちらか一方の選択を迫られている」と訴え、帯同を認めるよう求めていた。

報道によると、これにより10人の米国代表選手が子どもを日本に同行することが認められるという。生後3カ月の娘の同行を求めていたバスケットボールのカナダ代表キム・ゴーシェをサポートしていたカナダ五輪委員会のデビッド・シューメーカー最高経営責任者は「組織委員会が私たちの要請を承認したと聞いてうれしい」とコメントしている。

IOCはこの2日前、ヤフースポーツの取材に対し「乳幼児や世話係を含む選手の家族並びに関係者の日本入国が認められる可能性は非常に低い」と語り、選手は家族の同行をあきらめることが基本であるとコメントしていた。

またトゥリアムクも先日、母乳で育てている生後5カ月の娘が入国できるよう申請したものの拒否されたとSNSで明かし、「10日間離れなければならない。半日離れることさえ想像がつかない。同行できないと知ってからたくさん泣いた」と心境をつづっており、選手の来日が目前に迫る中での急転直下の決定となった。(ロサンゼルス=千歳香奈子)