100年以上にわたる五輪の歴史では、数え切れない名勝負が繰り広げられてきた。20年東京大会で再び世界が熱くなるドラマが見られることを期待して、過去の名シーンを振り返る。

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大会前に10秒1の日本新記録を樹立。吉岡隆徳の記録を29年ぶりに塗り替えた20歳の飯島秀雄には、陸上界のホープとして期待がかかった。1次予選を10秒3のトップで通過すると、2次予選も10秒5でクリア。しかし、決勝進出を目指した準決勝は10秒6。「緊張からか、動けなかった」と振り返った通り、自慢のロケットスタートが不発。それでも、大歓声に気を取り直すように「まだまだ練習が足りなかった。これからやり直します」と話した。

68年メキシコ大会も準決勝で敗退した後、プロ野球の東京オリオンズ(現千葉ロッテ)に「代走要員」として入団。圧倒的なスピードで期待されたがプロの世界は厳しく、3年間在籍して盗塁は23個に終わった。ただ、話題性は抜群で観客動員には大きく寄与した。※14年8月27日、日刊スポーツ紙面に掲載