男子5000メートル(視覚障害T11)で唐沢剣也(27=群馬県社会福祉事業団)が銀メダル、和田伸也(44=長瀬産業)が銅メダルを獲得した。

唐沢は4000メートルまでは3、4番手の好位置につけた。今年4月からコンビを組む群馬が拠点の実業団SUBARU陸上競技部所属の小林光二さんとの歩調の合った走りで、順調に終盤までレースを組み立てた。残り1000メートルで茂木洋晃さんにガイドが変わり、ラストスパート。残り500メートルで一時は首位に立ったが、残り150メートル付近でブラジル選手にかわされての銀メダルだった。

初のパラリンピックでの快走。「出せる力を全て出しての2位。うれしいです」と声は弾んだ。数日前から緊張感に襲われていたが、2人のガイドランナー、コーチを過ごす中で和らいでいったという。

群馬県渋川市出身。網膜剥離で10歳で視力を失った。16年リオデジャネイロ五輪での和田らの活躍に感化され、競技を始めた。この日はともにレースを進め、「和田さんが目標の選手で、ライバルでもあった」と感慨深げに話した。

初の世界舞台となった18年のアジアパラ(インドネシア)でいきなり優勝し、19年の世界選手権で銅メダルを獲得した。伸び盛りの新星は、30日の1500メートルにも登場する。

◆和田伸也(わだ・しんや)1977年(昭52)7月9日、大阪府生まれ。12年ロンドン大会銅、16年リオデジャネイロ大会6位。マラソンで両大会5位。44歳。関大在学中に網膜色素変性症が判明。28歳で競技を始めた。

◆唐沢剣也(からさわ・けんや)1994年(平6)7月3日、群馬県生まれ。18年アジアパラ大会優勝。19年世界選手権は銅メダル。点字図書館に勤務。