銅メダルを獲得した日本代表のケビン・オアー監督は試合後、24年パリ大会まで続投する意向を示した。

米国出身。04年アテネ大会では米国を銅、12年ロンドン大会ではカナダを銀メダルに導いた。若手育成に定評があり、17年2月に日本代表監督に就任。前大会までの障害の軽い「ハイポインター」の池透暢主将(41)と池崎大輔(43)の“イケイケコンビ”に頼る個人技の戦術から、勝負どころの流れを見極めて障害の重い「ローポインター」の“守備職人”こと倉橋香衣(かえ、30)や長谷川勇基(28)らを起用する「チームプレー」を徹底させた。18年世界選手権制覇など強化は着実に実を結んだ。

コロナ禍以降は、入国制限で来日できなかったため米国・アラバマ州の自宅からリモート指導。代表合宿では東京・北区の味の素ナショナルトレーニングセンターに3台のカメラなどを設置し、14時間の時差の都合で昼夜逆転生活をしながら奮闘した。米国時間午前4時に設定されたミーティングでは、寝過ごしてしまったおちゃめな一面もある。

感情を表に出す性格で、来日してからもその熱血漢は変わらず、準決勝で世界ランク4位の英国に敗れると涙しながら「日本の皆さんに金メダルを届けたかった…」と声を振り絞った。この日の3位決定戦では、ベンチからいつも通りにゲキを飛ばした。選手たちが日本がやるべく攻撃的な攻防を体現し、3連覇を狙っていた同1位のオーストラリアを撃破すると感極まった。米国人の名将は決勝後の表彰式で、選手12人に自らブーケを手渡した。その充実感に満ちた表情は、金メダルを獲得すべく3年後の未来を見据えているようだった。【峯岸佑樹】