日本代表の森保一監督(51)が、東京オリンピック(五輪)代表の監督から退き、A代表に専念するプランが進んでいることが25日、分かった。

東京五輪が1年程度の延期となったことで、強化の日程上、A代表と五輪代表の兼務が難しくなった。日本サッカー協会は、来月の技術委員会で協議する予定だ。

新型コロナウイルスの影響でプランが崩れた。協会幹部は「森保監督の負担が大きくなるので、技術委員会で話し合ってくれるはず」と話した。来年はW杯アジア最終予選突破と東京五輪のメダル獲得という「二兎(にと)を追う」ことになった。だが1人の監督で両立できるほど、最終予選も東京五輪のメダルも甘くない。そこで協会は兼務体制の解除を検討し始めた。

A代表と五輪代表は国際Aマッチデー(IMD)しか欧州組を集められず、チーム強化の時期が重なる。本来の予定なら今月23~31日のIMD9日間はA代表2試合、五輪代表2試合が組まれるなど、かなりのハードスケジュールだった。まだ日程すら定まらない最終予選へ、この繰り返しで挑むのは無謀といえる。

協会はW杯ロシア大会後、当時の西野朗監督の後任探しとして「継続性」という視点から、コーチとして支えた森保氏と監督契約した。その際に「上下の連動性」を重要視し、A代表と五輪代表の兼任プランを立てた。23歳以下の選手とA代表が同じコンセプトで強化できるため、マジョルカMF久保ら若手がA代表にスムーズに溶け込めた。その成果も踏まえ、森保監督はA代表に専念する一方で、「総監督」などの肩書で五輪代表とのつながりを保たせる考えだ。

代わる五輪代表監督には、森保監督を補佐してきた横内昭展コーチ(52)が昇格し、東京五輪を指揮する可能性が高い。五輪指揮官の負担を減らすため、新たにコーチ1人と契約し、サポートしていく計画も立てている。

サッカー界において最も大事な大会はW杯にほかならない。日本は2次予選で無失点の4連勝と順調に進んでいるが、ライバル国の韓国やイランなどは苦戦中。中東や中央、東南アジア諸国が力をつけている。最終予選は油断できない試合が続くからこそ、森保監督はA代表に専念することになりそうだ。